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2005年09月04日

チャンスの芽をつぶしている「前世紀の遺物」

「前世紀の遺物」

古くなって社会などの実情に合わなくなったものをこう呼びます。

衆議院選挙運動が全国で盛んになっています。そんな最中、立候補者のHPやブログを見ると公示日(8/30)以降は全く更新されていないことがわかります。

何故か?

公職選挙法 第142条[文書図画の頒布]

衆議院(比例代表選出)議員の選挙以外の選挙においては、選挙運動のために使用する文書図画は、次の各号に規定する通常葉書及び第1号から第2号までに規定するビラのほかは、頒布することができない。この場合において、ビラについては、散布することができない。
1.衆議院(小選挙区選出)議員の選挙にあつては、候補者1人について、通常葉書 35000枚、当該選挙に関する事務を管理する選挙管理委員会に届け出た2種類以内のビラ 7万枚
(中略)
2 前項の規定にかかわらず、衆議院(小選挙区選出)議員の選挙においては、候補者届出政党は、その届け出た候補者に係る選挙区を包括する都道府県ごとに、2万枚に当該都道府県における当該候補者届出政党の届出候補者の数を乗じて得た数以内の通常葉書及び4万枚に当該都道府県における当該候補者届出政党の届出候補者の数を乗じて得た数以内のビラを、選挙運動のために頒布(散布を除く。)することができる。ただし、ビラについては、その届け出た候補者に係る選挙区ごとに4万枚以内で頒布するほかは、頒布することができない。
3 衆議院(比例代表選出)議員の選挙においては、衆議院名簿届出政党等は、その届け出た衆議院名簿に係る選挙区ごとに、中央選挙管理会に届け出た2種類以内のビラを、選挙運動のために頒布(散布を除く。)することができる。
4 衆議院(比例代表選出)議員の選挙においては、選挙運動のために使用する文書図画は、前項の規定により衆議院名簿届出政党等が頒布することができるビラのほかは、頒布することができない。
(後略)

以上のように詳細な規則を設けているのが公職選挙法です。

公職選挙法で認められている選挙運動とは?

公職選挙法で禁止されている選挙運動とは?

買収選挙犯罪のうちではもっとも悪質なものであり、法律できびしい罰則が定められています。候補者はもちろん、選挙運動の責任者などが処罰された場合は当選が無効になることもあります。
戸別訪問誰であっても、特定の候補者に投票してもらうことを目的に、住居や会社、商店などを戸別に訪問してはいけません。また、特定の候補者名や政党名あるいは演説会の開催について言い歩くこともできません。
挨拶を目的とする有料広告候補者や後援団体(特定の候補者を推薦し支持する団体)は、選挙区内にある者に対し、時候、慶弔や激励などのあいさつを目的とする広告を有料で新聞、雑誌に掲載したり、テレビやラジオで放送したりしてはいけません。
飲食物の提供誰であっても、選挙運動に関して飲食物を提供してはいけません。但し、お茶や通常用いられる程度のお茶菓子や果物は除かれています。また、選挙運動員に渡す一定の数の弁当は提供することができます。
署名運動誰であっても、特定の候補者に投票をするように、あるいは投票しないようにすることを目的として選挙人に対し署名を集めてはいけません。
気勢を張る行為誰であっても、選挙運動のため人目を引こうと自動車を連ねたり隊列を組んで往来したりしてはいけません。

「自動車を連ねたり隊列を組んで往来...」は笑えますね。

さて、インターネットを使った選挙活動ですが、東京都選挙管理委員会によると、選挙運動にわたらない純粋な政治活動として、インターネットのホームページを利用することは自由にできる。しかし、純粋な政治活動として使用するホームページであっても、選挙運動期間中に開設したり、又は書き換えをすることは、新たな文書図画の頒布とみなされ、選挙運動の禁止を免れる行為として公職選挙法に違反することがある、と言います。

「違反する」と断定しないで、「違反することがある」という表現をしているのは、現時点で解釈が確立していない、将来への含みを持たせているのでしょう。

ブログを「文書図画」と同質と考えるのは、大きな誤りであると思います。

ビラや葉書のような「文書図画」は変化することのない固定情報を伝達する媒介(キャリア)に過ぎないのに対して、ブログは頻繁に更新される時系列情報を配信する媒体(メディア)である。

ここに大きな違いがあります。(同じメディアを利用したテレビCMや新聞広告は堂々とやっています)

公職選挙法には”ブログ”は想定されていなかったし、選挙が電撃的に始まったことも想定外で、解釈を確立する時間がなかったことは事実ですが、総務省や選挙管理委員会はブログをホームページと同類のものと考えているのではないでしょうか。

ホームページは頻繁に更新されることがない固定情報を提供するという意味で「文書図画」と共通する点はありますが、ブログがホームページとは本質的に異なることを認識していれば、「文書図画」の同類項として括りはしなかったでしょう。

国民の関心が高い今回の選挙。(こんなのは久しぶりです)

国民も政治家も"ブログ"を利用して手軽に情報収集できるようになり、国民と政治家の間にある次元の違いやギャップを埋めることができる絶好のチャンスかも知れないのに、そんなチャンスの芽を、「文書図画」を持ち出して不用意につぶしてしまっている。

それが、この法律とその解釈を「前世紀の遺物」だと言う理由です。

本選挙後に速やかに、最低でもブログは「文書図画」の対象から除外するように検討してほしいですね。

投稿者 messiah : 2005年09月04日 11:54

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