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2005年12月14日
百科事典「ウィキペディア」の集合知として完成度
「Wisdom of crowds」という本に「適切な状況の下では、集団は、その中で最も優れた個人よりも優れた判断を下すことができる」という事が書かれています。
適切な状況とは、
- 意見の多様性がある。
- 各メンバーが独立している。
- 各メンバーが個々に分散している。
- 意見を集約する優れた仕組みがある。
そして、それを具現化した顕著な例として、誰でも記事を投稿できるオープンソースの百科事典「ウィキペディア」があります。
ウィキペディアの利用ルールは単純です。
「基本方針」に賛同する人なら誰でも、百科事典に記事を投稿したり、編集したりすることが出来る、と謳っています。
その基本方針とは、
- 偏見を避ける。
- 著作権を侵害しない。
- ウィキペディアは百科事典-これ以外に目的はない。
- 他の参加者に敬意を払う。
ウィキペディアは2001年に誕生して以来、蓄積された項目数が110万件以上という規模に達しています。
英語版だけをとっても項目数は44万4000近くにのぼっていますが、これらは全てウィキペディア・コミュニティに参加するメンバーによって無償で執筆されています。
ウィキペディアは「ブリタニカ百科事典」などに代わる次世代の情報源と位置付けられることもありますが、同時に、その内容がどれだけ信頼できるのか、学術関係者の信頼に足る内容なのか、今後どのように変化していくのか、といった点が議論になっています。
さらには、月に約7%という割合で拡大を続けるにつれ、果たして公開性や共同作業といった基本方針に忠実でいられるのかという疑問の声も多く上がっているようです。
そして最近、ある事件がきっかけでウィキペディアは、従来の記事投稿ルールの変更を余儀なくされました。
その事件とは...
ケネディ兄弟の暗殺事件に絡み、無関係の人間を犯行に結びつけるような記事を掲載しているという指摘を受けたのです。
1960年代前半にロバート・ケネディ元米司法長官の幹部補佐を務めていたジョン・サイゲンセラー氏が、ウィキペディアに載っている彼の経歴の中に、「ロバート・ケネディとその兄のジョン・F・ケネディ元米大統領の暗殺に関与した容疑をかけられた」という虚偽の記述を発見したのです。
サイゲンセラー氏によれば、「サイゲンセラーがジョンとロバート、両ケネディの暗殺事件に直接関与したと思われていた時期があった」とする事実無根の記事が132日間、ウィキペディアに掲載されていたといいます。
さらに彼が不快に思っているのは、自分の経歴に関する記事の変更履歴をたどると、サイゲンセラー氏を「ナチス」だとするものをはじめ、「私に関する非常に悪意に満ちた、不快きわまりない、低俗で偏見だらけの記述」があるという事です。
これに対して、同事典サイトを運営するウィキメディア財団(フロリダ州セントピーターズバーグ)のジミー・ウェールズ会長は12/5、不適切な記事や履歴を削除すると発表し、今後は投稿者にユーザー登録の義務を課す方針を明らかにしました。
しかし、サイゲンセラー氏の怒りは収まらないようで「知の自由市場であるウィキペディアなら、いずれこの問題を克服するだろう。だが当面、私のような目に遭った人はどうすればいいのか」と憤懣やる方なし。
「Wisdom of crowds」が言う、適切な状況の1つ=「意見を集約する優れた仕組みがある」という部分に、「ウィキペディア」はまだまだ改善の余地があるようです。
実は、この話は先日意外な展開を見せました。サイゲンセラー氏を陥れた真犯人が発覚したのです。 興味のある方はこちらをどうぞ。 |
q.f. Hotwired Japan |
投稿者 messiah : 2005年12月14日 09:10
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