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2005年05月08日

「理」 と 「情」 ”伝説のプレーヤー”が内在する正反対

[Photo] テレビステーション・ニュース
筆者が20歳代後半の頃、落合博満氏(現・中日ドラゴンズ監督)はロッテ・オリオンズの4番打者として超人的な活躍をしていました。

ロッテ・オリオンズで前人未到の3度目の三冠王を達成した1986年、新聞の全面広告に阪神タイガースの救世主バース氏と二人で並んでバットを肩にかけた写真が大きく掲載されたのを憶えています。

「今年もまたセ・パ両リーグ 三冠王」という見出しだったかな。

顔色一つ変えずに思ったことをストレートにズバッと言う。

「三冠王を獲る」といって本当に獲ってしまう完璧な有言実行型。

意表をつく発言の数々、上を上とも思わない不敵な態度。

そんなところが当時の(若い)筆者の目から見ると新鮮で、そして何よりも刺激的でした。

スポーツ新聞に「三冠王・落合トレードか?」の見出しが大きくでたのはシーズン終了直後の事。

成績不振の責任を追及されて監督を解任された稲尾和久氏をかばう発言をした事から球団との間に大きな溝が出来たのです。その後、「稲尾監督を解任するならオレも辞める」と公言。

その当時の落合氏と稲尾氏との人間関係について筆者はよく知りませんが、シーズン中にこんなことがありました。

シーズン終了直前、首位打者部門で落合選手を激しく追い上げる阪急ブレーブスのブーマー選手に対して、稲尾監督は落合選手に三冠王を獲らせるために終盤の数試合を休ませます。
(※ ブーマー選手は1984年の三冠王)

好不調で数字が上下する打率は落合選手が三冠王を獲るための最重課題。「四タコ(4打数ノーヒット)しても大丈夫になるまで落合は試合に出さない」と稲尾監督は公言して実行したのでした。(ブーマーは卑怯だ、と怒った)

そんな温情派の稲尾氏に落合選手が男気を感じるものがあったように思います。

卓越した野球理論を武器に『理』でしか動かない男かと思うと、相手次第で簡単に『情』で動く、そんな不思議な二面性を持つ男。

三冠王を取った落合氏はその後も活躍して1998年に引退するまで、記録と記憶の両方に残る”伝説のプレーヤー”として名を残すことになります。

そして、昨年久しぶりにユニフォームを着た落合氏は、(説明するまでもないが)監督として1年目のセ・リーグ優勝を有言実行してしまいます。

1年目は誰も解雇せずに現有戦力で戦う。それでも十分優勝する力はある、と見抜いた洞察力はさすがです。

メジャーリーグにすらいない3度の三冠王を獲得したプレーヤーが、監督という立場になると、投手を要とした守りの野球に徹するという現実主義。

これは彼の『理』の部分でしょう。

そして、1年目に1軍と2軍の全選手に平等にチャンスを与えたのは彼の『情』の部分でしょう。

「落合博満」の考えていること、行動していることは、言葉数は少ないが実に『理』にかなったものです。

しかし、彼の『理』を動かすエンジンとなっているのは、それとは一見正反対に見える、彼の野球に対する『情』かも知れません。

投稿者 messiah : 2005年05月08日 08:40

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