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2005年06月26日

6億4千万人の「レフティ」市場を狙え

洞窟に残っている絵が、左右どちらの手で描かれたか?

出土された土器がどちらの手で作られたか?

こうした考古学データから推測すると、少なくとも5000年前に地球上にいた人間の9割は右利きだった、ということが分かっています。

しかし時代を遡っていくと、200~250万年前の原人類では、右利きは59%しかいなかった。(これは、我々人類の祖先・ホモハビリスの作った石器を調べた結果得られたもので、かなり正確なデータと言われている)

さらにもっと遡ってサル、チンパンジーを研究してみると、さまざまな実験結果から右利きは50%だったことが分かりました。

どうやら、人類が誕生するまで(誕生してからもしばらくの間)は利き手というものはなかったようです。

その後、250~300万年という人類の歴史において右利きが90%に増えていくわけです。

では、なぜ「右利き」が圧倒的に多くなったのか?

埼玉大学・経済学部教授の西山賢一氏によると、人間の道具の発達の歴史と脳の発達が、右利きが増えたことに関係があるといいます。

大脳は右と左、つまり右脳、左脳に分かれていて、右脳は身体の左半分、左脳は右半分につながっています。

感覚、運動といった機能レベルでは、右と左に違いはないのですが、もう少し高度な言語というレベルの機能になると、右脳、左脳ははっきりと違ってきます。

例えば、言葉は右脳に障害があっても話せますが、左脳に障害があると話せなくなります。右半身マヒの人に失語症が多いのもそういう理由によります。つまり、左脳は言語機能をコントロールしているわけです。

そこから一つ言えるのは、人類は言葉の発達に伴い左脳が刺激・強化されていき、それにより右半身の運動能力が発達した、つまり右利きの比率が高まっていったのではないかということです。

つまり、最初は左右両方の手を使って作業をしていたけれど、道具の発達と共に作業が複雑化し、頭の中でいろいろ考えなくてはならなくなった。

それが言語活動を担当している左脳を刺激すると共に言葉の発達を促し、さらに右利きの比率を高めていった、と考えられています。

右利きが圧倒的に多くなった結果、身の回りの道具はほとんどが右利きを基本に設計されるようになりました。

マーケットの考え方からすればそれは正しい。しかし、対象外となった1割の「左利き」はどうなるのか?

増え続けている世界人口(64億人)から見ると、その1割(6億4千万人)の左利き人口は決して小さな数字ではありません。

既に左利き用製品のマーケットはありますが、近い将来、6億4千万人の「レフティ」市場をターゲットにしたビジネスが本格的に始動するかも知れない。

それは、もはや"ニッチ"とはいえないからです。

by at home こだわりアカデミー

投稿者 messiah : 2005年06月26日 09:49

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