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2005年09月30日
マイクロソフト最強の時代、既に芽生えていた脅威の種
PCソフトとIT分野の頂点に立ち、今もなおその地位に君臨し続ける世界最大のソフトウェア企業、と言えば米マイクロソフト社です。
しかし、最近数年に関しては技術面の新規性、話題性でその注目度を他社に奪われています。
その原因は後で述べますが、1995年(Windows 95を出した年)に彼らが既にその可能性を予見していたと言うのです。
1995年5月、マイクロソフト社の幹部は当時生まれたばかりのワールドワイドウェブ(現在のインターネット)が、いつの日かWindows陣営の大きな脅威になることを早くも懸念していたとのことです。(同社が5年前に争った独禁法訴訟の証拠として提出した資料から判明)
資料には次のようなメモがありました。
「ウェブは、今後数年で急速な成長を遂げ、マイクロソフトのWindowsと競合し、これを越える完全なプラットフォームへと進化するだろう」
しかしその時点ではまだ未来予測の域を出ないものであったため、ひたすらOSを重視する戦略を主張する側の勢いにかき消され、最終的にはOS重視路線に突き進んでいきます。
10年前のその決定は正しかったのか?
その後マイクロソフト社は、OSを中心とする戦略の推進により、1997年度から2005年度末の6月にかけて、年間売上高は113億6000万ドルから397億9000万ドルへと増加し、この間に純利益はおよそ3倍の年間122億5000万ドルに達したのです。
ここまでの繁栄を築いた以上、10年前の判断は正しかったと言わざるを得ないものがあります。
しかし皮肉な事に、マイクロソフト社の勢いにブレーキをかけ、攻勢から守勢に転じさせている原因は、この10年間に得た巨大な成果物そのものに潜んでいたのです。
IT業界の大手企業が次の技術革新の波に乗り遅れる理由。
マイクロソフト社幹部はその当時正しいと思われる決断を下した。その決断の結果、売上は大幅に伸びた。
しかし、中核製品であるWindowsはますます大規模で複雑なものになり、新しいバージョンを出荷する作業はますます困難になってしまった。
この10年間の成功とは裏腹に膨らんだ重荷が、次世代の技術革新に対応することをさらに難かしくしています。
はるか昔には、マイクロソフト社とアップル社がIBMの存在を脅かしたことがありました。
これに対し、現在はGoogleが安価で使いやすい代替技術を提供することで、マイクロソフト社を脅かすチャンスを手にしていると言われています。
「マイクロソフト社はかつて下の方から(上位にいるライバルを)攻撃していたものだった」とある元幹部は言います。
「ところが現在では、マイクロソフト社が下からの攻撃を受けており、同社にはそれに対処する方法が分からない」状態のようです。
マイクロソフト社がWindowsで市場を圧倒している1997年、スタンフォード大学の学生寮で大学院生が開発した検索エンジンが、その後「Google」となり、2005年までに年間40億ドルの収益を上げる大企業へと成長して、マイクロソフト社を下から攻撃し始めたのです。
頂点に立っているものが頂点を脅かされる。
その種は、マイクロソフト社が最も強かった時、密かに芽生えていたのです。
by CNET Japan |
投稿者 messiah : 2005年09月30日 08:21
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