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2005年11月24日

バッサリ斬られた六本木ヒルズのネット旧世代

六本木ヒルズ経営コンサルタントで起業家養成の「アタッカーズ・ビジネス・スクール」塾長・大前研一氏が、今をときめく六本木ヒルズのIT長者たちを一刀両断!

テレビ局を狙って買収を仕掛けている楽天・三木谷氏、買収を仕掛けたが失敗したライブドア・堀江氏、フジテレビの買収を画策していた村上ファンド・村上氏を十把一絡げ(じっぱひとからげ)で斬りました。

世間では”デジタルの先兵”といわれる人たちだが、大前氏は「テレビ局の買収を画策しているという時点で、ネットワーク社会の次の姿を描ききれていない証拠」と言い切りました。

これは10/19・20にホテルニューオータニで開催された「日経コミュニケーション」20周年記念フォーラムの基調講演でのことです。

ネット産業が既存のテレビ、ラジオ、パッケージメディアを飲み込もうとしている現在、単なるコンテンツ狙いでテレビ局を買収しようとしている日本のネット旧世代のリーダー達に大前氏は落胆しているようです。

30代から40代前半の彼らを「ネット旧世代」と定義しています。(では、1943年生まれの大前氏自身は何世代だろう?)

そして、子供の頃からデジタル機器になじんできた若い世代の方が、来たるべきネット時代の見取り図を理解できるはずと言います。

ここで大前氏は、IT社会の進む方向を示している例として、アップルの「iTunes」(アイチューンズ)を引き合いに出して説明を始めたのです。

「iTunes というと、誰もがiPodの成功ばかりに注目していますが、事の本質はそこではありません。パソコンでiTunesミュージックストアに接続して、『ラジオ』というところをクリックしてみてください。世界のあちこちのラジオ局の放送を、自由に選んで聴けるはずです」

「昔は有線放送で金を払って聴いていましたが、今後は、世界中のラジオが、iTunesミュージックストアを通じて無料で聴けることになるでしょう。スウェーデンのエリクソン社では、すでに2万4000局のラジオ局をブックマークして、一発で選曲できるブルートゥースを使ったパソコンを発表しています」

「最近になって、iTunesミュージックストアに『ビデオ』の項目が加わりました。これは、やがてテレビや映画などがインターネットに取り込まれることを意味しています」

さらに彼はこう続けます。

「テレビ局の広告媒体価値はゼロになる」

大前氏は、アメリカで全視聴者の20%が利用しているという「TiVo」(ティーボ)を紹介しました。

「TiVo」は、特別に契約したハードディスクレコーダーを家庭に設置することで、好きな番組をダウンロードして視聴するシステムです。

このシステムには、2つの大きな特徴があります。

1つは、タイムシフト機能を内蔵しているので「見たいものを見たいときに見られる」という点です。

そもそも、アメリカでは国内でも3時間の時差があるために、リアルタイムで見るよりも、個人のペースに合わせたテレビの楽しみ方が歓迎されるのです。

そして、もう1つの特徴は、CMが自動的にカットされるという点です。

「学者の予測によれば、日本でも今後はTiVo的なものが普及するとされています。すると、どうなるか。テレビ局の価値はゼロに向かって落ちていくことになるでしょう」

「視聴者がCMをカットしているとわかれば、スポンサーはテレビ局に高い広告費など払うわけがありません。今の形のテレビ局が没落していくことは間違いないでしょう」

「そんな時代を前にして、テレビ局を高い金で買収しようという人は、事態を理解していないか、どこか時代認識がおかしいのではないかと思うわけです」

「ポータルサイトでテレビを見せたければ、すべてのテレビ局の番組を視聴者が自由に選べるようにするべきです。楽天のポータルはTBSのみ、ライブドアはフジテレビのみというのでは、何の意味もありません。彼らには、時代が見えていないとしか思えません」

...と言いたいことを言いました。

白か黒かという二者択一の論調は昔から変りませんが、まあ、”大前研一”とはこういう人ですから特に驚きません。

言葉は過激でも観察はするどい。護送船団方式で50年以上にわたり守られてきたテレビ業界が大波に呑まれていくのは確かでしょう。

ブロードバント環境がさらに整備されれば、データをダウンロードする必要もなくなり、すべてがオンデマンドで視聴できるようになるだろうと大前氏は予想します。

自宅でも携帯でも、見たいとき聴きたいときに視聴できる時代が、まもなくやってくるというわけです。

そして、批判の矛先は次世代DVDの規格争いをしている家電メーカーにも向かいます。

「オンデマンドの時代になったら、あんなものに24ギガバイトものデータをダウンロードして見るヒマ人はいません。せいぜい、それで見る価値があるとしたら、ハイビジョンの『風とともに去りぬ』くらいでしょう」

「結局、日本の家電メーカーも、VTR、CD、MD、DVDなどで無理やり売りつけていたパッケージソフトのうまみが忘れられないのです。つぎはハイビジョンの長編映画のパッケージを、ということです。しかし彼らはネットワーク社会の次の姿を描ききれていないのです。ソニーはPS-3をブルー・レイでやるということですが、これが業界の孤児になる可能性に気が付いているのでしょうか?光ネットワークでオンデマンド時代が近づいているというのに、次世代DVDの規格でけんかしているのは、滑稽ではありませんか」

気がついたら、日本の家電メーカーも大前氏に十把一絡げにされていたという話です。(でも、彼の予測は方向性としては間違っていないと筆者は思います)

q.f. 日経BP社

投稿者 messiah : 2005年11月24日 08:07

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