« 2005年度全上場企業のホームページランキング | HOME | ある寒い朝の出来事 »

2005年12月05日

アマゾンに対抗するために街ぐるみで立ち上がれ

三省堂書店東京・神保町の三省堂書店本店には、店内の書籍の在庫情報を検索できるタッチパネル端末が9台あります。

この端末で、同店の約300メートル先にある岩波ブックセンターの在庫情報を検索できるようにしています。

同時に、岩波ブックセンターの店員用端末からも、三省堂の在庫情報が検索できる仕組みになっています。

...何のために?

お目当ての本が町内のどの書店にあるか教えることで、神保町から顧客を逃さない作戦なのです。

三省堂の端末で書籍を検索した顧客のうち1日あたり20人程度が岩波ブックセンターに足を運ぶといい、神保町内での顧客の循環に一役買っていると三省堂書店は言っています。

在庫情報共有システムへの参加書店は今後増やす計画で、神保町の古書店検索サイト「BOOK TOWNじんぼう」とも連携したいと考えています。

三省堂書店によると、「神保町の書店は相互に協力しあってきた。自社の店舗に在庫がない書籍に関しては、『近くの〇〇書店なら、この分野に強いから置いてありますよ』などと案内することも多かった」

「本屋が集中している小さな町で、反目しあっていたら生きていけない」

各書店は「文芸に強い」「コミックに強い」「オタク分野が強い」などとそれぞれ強みや特徴があり、直接は競合しない。強みの異なる書店なら、マーケティングデータを渡しても構わないというわけなのです。

こうした街ぐるみの団結の背景には...そうです。アマゾン・ドット・コムに代表されるネット書店から受ける脅威が対抗意識となって表れているようです。

三省堂書店によると、「アマゾンのようなネット書店は対極のライバル」と言います。

ネット書店は、目的の本を買うためだけの場所。神保町の実店舗は「何かあるかもしれない」とぶらりと来てもらって書棚を楽しみ、本をパラパラめくって知らなかった本と出合ってもらう場所。販売する商品は同じでも、役割は異なると見ています。

ただ本を買うだけならワンクリックのネット書店のほうが便利。

わざわざ電車賃と体力と時間をかけて神保町の書店に来てもらうためにはどうすればいいかを考えた時、「小売りの本来に立ち返る必要がある」と考え、接客という小売りの基本を徹底したいと同書店は話しています。

書店員とのコミュニケーションが楽しめる場にしたい。たとえ目的の本がなくても「書店員と楽しい時間を過ごせたからまた来よう」と思ってもらえるような書店作りを目指したい。

同時に、神保町全体の魅力もアピールしていく。

例えば「この喫茶店は徳富蘆花の行きつけだった」「あの中華料理店は周恩来の書が飾ってある」など神保町ならではの街の魅力を情報発信し、街としてのリアルさ、面白さをアピールしたいとのこと。

ネットによる電子商取引の急速な拡大、それによって実店舗が窮地に追い込まれている分野が増えつつあります。

コストが抑えられるから低価格が実現する、その場で購入できるから時間の節約になる、多様なサービスを自由に選択できる、そして何と言っても目新しい。。。(ネットビジネスは今のところ利便性がやけに目立つ)

実店舗がネットショップの拡大に対抗する方法として、棲み分け可能なサービスの開拓やバーチャルでは実現できない価値を提供することが生き残りの道なのでしょう。

神保町vsアマゾンは言い換えると、ウェットビジネスvsネットビジネス。

そのどちらを選択するかは人それぞれのような気がしますが、人は必ずしも同じ手段でのみ行動しないものです。

ある時は書店に出かけて街の空気に触れ、ある時はネットで書籍のプレビューをチェックする...

競争は厳しくなるが、利用者の選択肢が増えて多様かつ自由な競争市場になれば『書籍ビジネス』にはまだまだ発展の余地があるという事を喜ぶべきかも知れません。

q.f. ITmedia

投稿者 messiah : 2005年12月05日 08:22

トラックバック

このエントリーのトラックバックURL:
http://go1by1.com/mt/cgi-bin/mt-tb.cgi/397

コメント

コメントしてください




保存しますか?


▲TOP   ■HOME