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2006年10月23日

成功体験に埋没したポータルの王者

ポータルサイトと言えば、最初に思い浮かぶのがYahoo!です。

「インターネット」という鉄道に乗って旅に出て、「ウェブ」という駅に到着したら、そこにドーンとそびえているのが「ポータルサイト」という、ショッピングセンターを兼ねた旅行案内所でした。

ネットの始まった頃は、そんな環境でスタートしたのです。

他に選択肢はありません。だから、旅行案内所を他に先駆けて作ったYahoo!は世界No.1のポータルサイトになったのです。

米国で人気の高いサービスをいち早く日本に輸入して、日本国内で独占的ビジネスに発展させる、いわゆる「タイムマシン経営」の好きなソフトバンク・孫(そん)氏は、そんなYahoo!に注目して日本に導入した人物です。

その目論見は成功。日本では、インターネットで旅に出た人は、Yahoo!旅行案内所で「どこを観光するか」「どこで買物するか」を全て決めていた(ネット初心者の間では今でもその傾向は残っています)

ところが、インターネット発祥の地・アメリカで異変が起きていたのです。

観光客と一緒に鉄道に乗り込んできて、駅に着く前に、「観光案内・無料相談」という新手の商売を始めたのがGoogleです。

駅についてから観光先を調べるよりも、鉄道に乗っている間に行き先が決まるので効率がいいし、しかも無料で丁寧に教えてくれますから、顧客はどんどん増えていきました。

反対に、駅の旅行案内所に足を運ぶ人は激減してしまいました。

それが如実に表れたのが、先日発表されたYahoo!とGoogleの7~9月期決算報告です。

Googleが10/19に発表した7~9月期決算の純利益は7億3,340万ドル(約870億円)と、前年同期に比べほぼ倍増しました。

検索連動型広告サービスを軸にしたオンライン広告が好調に推移したためで、売上高は26億9,000万ドルと、約7割も増えました。

株価は急伸し、時価総額は1,297億ドル(約15兆4,300億円)と、半導体最大手インテルを超えてしまいました。

対照的にYahoo!の7~9月期決算は、純利益が38%減の1億5,900万ドル(約187億円)と大幅な落ち込み。

売上高は19%増の15億8,000万ドルですが、伸び率は2004年1~3月期をピークにずっと下落が続いています。

同社の株価も低迷を続けており、急速に進むインターネットの構造変化と業界の再編に乗り遅れたことが背景にあるとメディアで指摘されています。

ニューヨーク・タイムズは「新たなライバルに浸食されつつあるYahoo!」という特集記事を掲載。

YouTube(ユーチューブ)の買収交渉を迅速に進めることができず、結局Googleにさらわれてしまった内幕などにふれながら、巨大化した同社の組織が官僚化し、意思決定に時間がかかりすぎていると問題点を指摘しています。

。。。が、

それもあるでしょうが、最大の要因はポータルサイトの将来性を過信していたこと。

かつての成功体験に埋没し、急変するウェブの構造変化を見誤ったからだと思います。

このまま、失速していくのか?起死回生の策を打てるのか?

Googleの独走に歯止めをかけられる唯一の企業だけに、あっさりと土俵を割らないでほしいものです。

q.f. iza

投稿者 messiah : 2006年10月23日 07:45

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