« 年内にマイクロソフトはヤフーを買収する? | HOME | 距離をおいてみて 初めて見えるもの »

2007年04月15日

中国を動かした初老の米国女優

2003年、スーダン西部ダルフール地方の黒人住民がアラブ系中心の政府に反発し武装決起しました。

この時、政府が支援するアラブ系民兵組織が住民を迫害。

国連によると、20万人以あ上が死亡し、200万人以上が避難民となりました。

「世界最悪の人道危機」といわれ、国連安保理はスーダン政府に対して人権侵害行為をやめさせるよう要求しています。

これがダルフール紛争と言われる事件です。

さて、数々のヒット作を生み出した映画監督スィーブン・スピルバーグ氏は、この「ダルフール紛争」に関して中国の胡国家主席に1通の手紙を送りました。

スピルバーグ氏は北京五輪の芸術顧問を担当していて、国際的なイメージを改善しようと躍起の中国からすると影響力のある人物なのです。

中国は石油資源確保という目的のために「ダルフール紛争」には目をつぶってスーダン政府を支援してきました。

“スピルバーグの手紙”は、ダルフールの住民虐殺を非難し、中国政府に虐殺を終わらせるようスーダン政府に影響力を発揮するように要請した内容でした。

この手紙の直後、中国政府は外務次官補をスーダンに派遣して、難民キャンプを視察させる異例の対応を取りました。

さらに外務次官補は、スーダンのオマル・バシル大統領と会談。欧米が求める国連部隊の受け入れを拒否している大統領に対し、柔軟姿勢に転じて国連部隊を受け入れるよう要請したそうです。

しかし、話はこれで終わりません。

あの“中国”を動かしたスィーブン・スピルバーグ氏はエライ!ということになりそうですが。。。

実は、彼を突き動かした存在があります。米国の女優ミア・ファローさん(62)。

国連児童基金(ユニセフ)の親善大使を務めるファローさんは「“ジェノサイド(大虐殺)”五輪」と題して、3月28日付の米紙ウォールストリート・ジャーナル紙に寄稿。

中国とスーダンの深い関係を指摘した上で、ダルフール紛争と北京五輪を結びつけて論評しました。

ファローさんは、中国が支援するスーダン政府によって住民虐殺などのダルフールの“悪夢”がもたらされていると批判し、北京五輪に協力するスピルバーグ氏にその矛先を向けたのでした。

スピルバーグ氏をベルリン五輪(1936年)の記録映画を撮った女流映画監督レニ・リーフェンシュタールになぞらえて批判。(リーフェンシュタールはこの記録映画でナチスの宣伝を行ったと非難された)

この寄稿の4日後、スピルバーグ氏は胡主席に手紙を送ったのでした。

ファローさんの批判をかわす意味でか、それとも本当に同意してかはわかりませんが。

周辺の国から何を言われても聞く耳を持たない独善的巨大国家を、たった一人の個人の執念が動かしたのはすごい。

巨大国家は、構造的弱点を一人の初老の女優に衝かれてしまったようです。

q.f. iza

投稿者 messiah : 2007年04月15日 10:02

トラックバック

このエントリーのトラックバックURL:
http://go1by1.com/mt/cgi-bin/mt-tb.cgi/995

コメント

コメントしてください




保存しますか?


▲TOP   ■HOME