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2005年02月03日

プロ野球の新球団構想はアイディアマンの夢か

近畿産業信用組合という(私にはあまり馴染みのない)金融機関が、大阪を基盤とするプロ野球の新球団構想をおおやけにしました。タクシー業界の風雲爺(1928年のお生まれ)ことMKタクシー(エムケイ株式会社)会長の青木定雄氏が音頭をとって、早ければ来シーズンからの参入を目指すとのこと。出来れば四国リーグと連携して偶数(2,4,6,・・・)の球団が誕生すれば試合日程が組み易いので実現の可能性も高まるのでは、と思います。老いて尚盛ん?<(_ _)>な青木氏ですが、この方、現在のインターネット商法と同じ設計思想の商売をもう30年以上前に思いついていたようです。

1970年代、タクシー業界では同じ地域の全タクシー会社が横並びに同調して2年ごとに料金の値上げを行っていました。その結果、利用者のタクシー離れが起きて値上げしても収入増加につながらなかった。これに気づいた青木氏は、1981年の一斉値上げの動きに反対し「乗客の理解が得られない安易な値上げは行わない」と業界の動きに待ったをかけたのです。そして1982年、大阪陸運局に対して運賃値下げ申請を行い、これが却下されると運輸省(現・国土交通省)を相手取って大阪地方裁判所に提訴したのです。その後1989年、運輸省側が和解を申し入れ、青木氏はこれを受け入れた、という話は有名です。

また、次のような挨拶を乗務員が行わなければ運賃はもらわないという「MK運賃4つの挨拶運動」を実行しています。
 (1)「MKでございます」「有り難うございます」と挨拶をする。
 (2)行き先は「〇〇までですね」と確認の復唱をする。
 (3)「本日は〇〇がお供いたします」と乗務員名を明らかにする。
 (4)「有り難うございました。お忘れ物はございませんか?」とお礼を言う。

さらに次のような顧客サービスを次々と実施に移しています。
 ・ 身体障害者優先乗車
 ・ 救急タクシー
 ・ 英会話ドライバー
 ・ GPS無線自動配車システム
 ・ メッセンジャーサービス
 ・ 割引回数券の発売
 ・ 代行運転サービス

私が注目したのは、1973年に導入した「動く情報デパート」です。
MKタクシーの車内には大きく「売りたいもの、買いたいものがある方は何でもお申しつけください」と表示がしてある。それを見たお客さんが乗務員に注文すれば、「後でご連絡しますので、お名刺を1枚いただけますか」と言って名刺を受け取り、それを会社の商事部に渡す。商事部は予めエントリーされている売主買主のデータベースから適切な売り手・買い手を探して商談に入る。商談が成立すればマージンの数十%(当時は60%だった)がその乗務員に支給されるというシステムです。

これは現在のインターネット商法の主力となっている「オークション」や「アフィリエイト(※)」と同じ設計思想です。それが30年以上前に考えられ実行されていたことに驚きを感じました。アイディアに古いとか新しいとかはなくて、基本的に優れた設計になっていればそれを時代に合わせて実現していけばいいようです。(言うは易し...ですが)

そう言えば今回の新球団構想も、企業から出資を募って出資企業がそれぞれ各選手を雇用するという誰もが考えもしない発想が盛り込まれているのも青木氏ならではでしょう。
さて、そんな卓越した発想力と権力をものともしない青木氏が「関西が元気になるようにプロ野球球団を呼び戻したい」と掲げた男のロマンと、日本プロ野球機構(NPB)という保守の牙城との戦いが今始まったということで、今後も注目の話題です。

※ アフィリエイト
  自分のサイトに企業サイトへのリンクを張り、閲覧者が自分のサイトを経由して商品を購入したりすると、企業サイトから
  (仲介業者経由で)報酬が支払われるというシステム

参考サイト:NV-CLUB ONLINEこちら

投稿者 messiah : 2005年02月03日 08:11

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