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2005年02月02日

日本の知財活用はこのままで大丈夫か?

松下電器産業とジャストシステムの知的財産をめぐる訴訟の東京地裁判決が出て、松下側の言い分が認められました。争点になったのは、ワープロソフトなどで「ヘルプモード」で各種操作ボタンをクリックするとその機能説明がバルーン表示されるという、誰もが慣れ親しんだ機能の出所とアイコンの解釈に関するものです。負けた方は「控訴して今後も対抗していく。新製品は安心して買ってほしい」と強気のコメントだったが、どこか物寂しさを感じたのは私だけだろうか?

ジャストシステムはNECのPC98シリーズが日本のパソコン市場を席捲していた時代に、日本語処理基本ソフトとして各社パソコンに採用されて急成長しました。しかし、Microsoft の排他的戦略によってWordにその地位をすっかりと奪われた格好で1998年に赤字に転落したことは周知のことです。(2004年に7年ぶりに経常黒字に転換)
ようやく赤字トンネルから脱したと思ったら、虎の子「一太郎」の販売禁止命令。回復基調にあった業績に影響をもたらさないわけがありません。但し、同社は日本語処理のスペシャリストとしてテキストマイニング等の将来有望な技術を有するので純国産ソフトメーカーとしてこれからも存在価値を持ち続けてほしいと思います。(かく言う私は一太郎ではなくWordを使っています。ある友人は一太郎派で、一太郎でないと出来ない小技が色々ある。だからWordは使わないと言います)

この訴訟ニュースは各メディアがトップで扱っていましたが、要点を2つ抽出してみました。
1つ目は、今回の訴訟もそうだったように異業種間の闘争の増加が考えられます。これまでは同業者の一定量の特許を調べれば経営や開発方針の判断ができた。しかし今後は、業種を越えた広範囲な調査が必要になり、知財を守るためのコストが増加することでしょう。そこに知財ビジネス市場の急拡大が予想されます。

もう1つは日本の知財活用が建設的な展開をしていくのだろうかという疑念。知財活用といいながら実態は訴訟対策にウェイトが置かれる怖れが日本の企業風土には大です。知的財産を自分だけ独占するという排他的思考から脱して自利利他(※)の精神で発展させてほしいものです。特許は独占権を付与する考えが根底にあります。(独占禁止法の適用外となっている)しかし、Creative Commons的な物の見方で、知的財産を善意あるみんなで活用して共存共栄を図ることを企業、業種、あるいは国として独自に提案しないといけないと思うのです。

※ 一般には、自分の努力で得た利益を自分が受け取ると共に他人の利益をはかるという意味ですが、私は、他人の利益を
  考えて行動すれば、それが自分の利益として返ってくるという意味で解釈しています。
  (自利利他より利他自利というべきかな)

投稿者 messiah : 2005年02月02日 07:41

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