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2005年05月30日
e-Japanを減速させるキラーアプリケーションの不在
2000年に、当時の森首相が国会の所信表明演説の中で掲げたe-Japan構想。
具体的には、
(1) 2001年に全ての国民が安価にインターネットに常時接続することを可能にする。
(2) 2002年までに電子商取引の制度基盤と市場ルールを整備する。
(3) 2003年までに電子政府を実現する。
(4) 2005年までに米国水準を上回るIT技術者の確保と人材育成を強化し、同時に超高速アクセスが可能なインターネット網を整備する。
という目標でしたが、残念ながら実現したものが少ないと言えます。
その最大のネックは、ブロードバンドの最先端技術である光ファイバーの普及が遅々として進まないことにあります。
NTTは、利用が減り続ける固定電話に代わる次の事業の中核として光ファイバーを位置付けて、普及を推進しています。
目標は、NTT全体で2010年に3,000万回線の達成です。
NTTが公表している数字では、現在ADSL、ケーブルテレビを含めたブロードバンド回線利用者は約1,700万件。
その内の光ファイバーは203万件に過ぎません。(全体の12%)
(※ 2005.3時点のNTT公表値。内訳は、NTT東日本63万、NTT西日本58万、他社27万、残りCATV)
既に家庭周辺にまで整備が進み、光ファイバーを利用できる環境の世帯が3000万以上もあるにも関わらず、その普及が進まない理由は何か?
1.速度と料金のバランス
ADSLに比べると通信速度は2倍以上だが、その代わりに料金も2倍。そして、多くのユーザーがADSLの速度に不満を持っていない。
これに尽きるようです。(2.が出てこない)
NTTなどは、光ファイバーならではの応用分野(アプリケーション)を増やすことに躍起です。
しかし、キラーアプリケーション(※)はとってつけたように出てはこない。
唯一、光ファイバーでないと出来ない芸当があります。上りの通信速度です。
下り(受信)はADSLが最大で50Mbps、光はその2倍の100Mbpsという差ですが、上り(送信)には大きな差があります。
ADSLが数Mbpsなのに比べて光は100Mbps。
今のところ、この差を生かした送信のウェイトが高いアプリケーションを開発して投入するしかないように思われます。
※ キラーアプリケーションとは あるサービスやコンピュータの機種を大きく普及させるきっかけとなる、特別に人気の高いソフトウェアやコンテンツのこと。例えば、インターネットの普及にはWebブラウザの存在が大きな役割を果たしたが、この場合、ブラウザがインターネットのキラーアプリケーションである。ゲーム機の普及に大きく貢献したゲームソフトを「キラーソフト」と呼んだりするが、「キラー」で始まるこうした単語はいずれも、「普及に貢献した立役者」という意味である。 |
投稿者 messiah : 2005年05月30日 07:58
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