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2005年06月12日

近くて遠い国「中国」に海賊版が横行する理由

2004年6月、『クレヨンしんちゃん』の商標を管理する双葉社が、中国でキャラクター商品を販売したところ、上海商工管理行政局から、商標権を侵害したとして商品の撤去処分を受けました。

双葉社が調べたところ、『クレヨンしんちゃん』の中国名の「蝋筆小新」や、『クレヨンしんちゃん』の絵柄が、既に中国国内で何者かによって商標登録されていました。

いくら海賊版が横行している中国とはいえ、本物が商標権の侵害で商品撤去させられるとは青天の霹靂。双葉社は中国当局に対し商標登録の取り消し請求を行っています。

中国では、海外の人気ブランドやその類似商号を、本来のブランド所有者に先駆けて登録してしまうケースが少なくないといいます。

また現在、大ヒット上映中の映画スター・ウォーズシリーズ完結編「スター・ウォーズ エピソード3/シスの復讐」の海賊版DVDが北京の路上で販売されています。

同作品は、海賊版が出回るのを避けるため、全世界でほぼ同時に封切られました。中国でも先月初上映されましたが、3日後には海賊版DVDが国内のいたるところで入手可能な状況となっていたとのこと。

海賊版が横行し、誰もそれを排除しないのは中国の所得レベルが主要因だ、といいます。

〇〇省といった省都で働く人々の給料はだいたい1~2万円(800~1500元)程度。食事で言うと、日本の中華料理店でチャーハンを食べたら600円のところが、その10分の1以下の40~80円(3~6元)で食べられるそうです。
(※ 6/12現在のレートで1元=13.13円)

また、規模の小さい都市ではさらに所得が少なくなり、町村クラスになると平均的給料は2,600円(200元)程度のようです。

こうした所得層が大部分を占めるのに対して、付加価値が価格の大部分を構成するキャラクター商品やブランド商品は、世界中で価格はそんなに変わらないため、中国の庶民にとっては超のつく高嶺の花なのです。

しかし今や、そうした商品が都市のいたるところに陳列され、販売される世の中になった。

人が持っていると自分も欲しくなるのは人の常。

「安く買えるなら本物でなくてもいい。みんな、そうしているし...」

こうして、海賊版や違法コピーがビジネスとして成立する環境が出来上がり、当局も取り締まりに力を入れないから、社会全体に蔓延しているのでしょう。

知的財産が最大の輸出産業となっているアメリカは、中国にたびたび海賊版への対処を働きかけてきたが、一向に改善されない状況に業を煮やしています。

アメリカ同様に知財立国の道を進むしかない日本が、21世紀に最も密接な関係を持つであろう国との間に、国家感や価値観で最も乖離があるのが現状。

6/10、日本の知的財産戦略本部は、模倣品・海賊版拡散防止条約(仮称)を軸とした「知的財産推進計画2005」を策定しました。

(名指しはしていませんが)海賊版や違法コピーが際立って多い中国への対応を考慮した内容になっています。

我が国は、国際社会の包括的な枠組みを利用して知財価値を防衛していくしかないのでしょうか。

by Hotwired JapanITmedia

投稿者 messiah : 2005年06月12日 10:13

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