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2005年08月01日

地球の生命圏は表面のごく薄い膜にしか過ぎない

先日打ち上げられたスペースシャトルの日本人宇宙飛行士・野口氏が、ドッキングした国際宇宙ステーションの修復などの船外活動をしているニュースが連日報道されています。

乗組員たちは、(昔はもっと青かったのでしょうが)青く輝く地球を眼下に、人類の故郷・地球の雄大な姿と、それを包む無限の宇宙空間を目の当りにして、神秘の世界に感動していることでしょう。

この国際宇宙ステーションは地球表面から約400Km離れたところにあります。

つまり、飛行士たちは我々地上に住む人間たちとは約400Km離れているわけです。

地球と月の距離(中心距離)は406,442km。

国際宇宙ステーションは地上から離れること、月との距離の千分の一という意外な近距離なのです。下の図でそのイメージを捉えてください。(太陽系のような大きな視野で)

地球と月の距離のイメージモデル

左端のブルーの玉が地球で、右端のグリーンの玉が月です。その中心同士を架空の直線で結んでいます。地球のやや、ほんのやや右の縦の赤い線がわかりますか?

拡大したものが下の図です。

地球と国際宇宙ステーションの位置関係

この赤い矢印の先端が地上400kmの国際宇宙ステーションの位置なのです。

もう一度、上の上の図に戻ってその位置を確かめてください。

地球をほんの少ししか離れていないこんな近い場所で、人類がまだまだ苦労している事実にちょっとした驚きを感じます。

我々の住む地球は大量の酸素を含んだ大気と、生命の活動に欠かせない豊富な水に恵まれた不思議な惑星です。

太陽との距離、惑星としての大きさ、公転や自転の速度、地軸が垂直方向と23.4度の角度で傾いているためにできた四季の変化など...絶妙に条件がマッチした結果、知的生命体である人類をはじめ、多種多様な生命体を育む奇跡の星「地球」が完成しました。

しかし、科学の発達で人工衛星が地球上の軌道を回り、宇宙探査機がはるか遠くの惑星の写真を撮影して送ってくる時代になっても、実のところ、人間が生命を維持して活動できる領域はたかだか知れているのです。

地球を包む大気層の厚さは20km足らずです。ほどよい保温効果で地球を過熱や過冷却から守り、生命に有害な紫外線を防ぎ、対流によって生命の維持に必要かつ適切なエネルギーの循環をうながす大気...

ある宇宙飛行士が撮影した1枚の写真に、驚くべきものが写っていました。それは、日没直後の地球の大気層の写真でした。

巨大な黒い球体に見える地球表面に、淡く輝いた赤紅色の細い一筋の線が写っていました。

この頼りない一筋の線こそ、我々が無限だと錯覚している大気層に他なりません。

その線の外側には生命を拒絶する暗黒の宇宙空間が広がっています。

海の深さ10km+大気層20kmで、地球生命圏の厚さはわずか30kmです。

地球を直径20cmの球体とすると、生命圏は厚さ0.5mm足らずの極めて薄い膜のようなものです。(下図の赤い線)

人類の生息範囲

無限どころか一瞬にして消滅してしまいそうな薄っぺらな膜の中こそ、我々が無限のものと錯覚している「この世界」なのです。

人は、青く透き通った空を見上げながら、この果てしない大空の青く澄んだ大気が永遠に生命を守り育んでくれるだろうと、と詩的な気分にかられたりします。

しかし、それは人間の勝手な幻想にすぎない。

そのことを...

今回のスペースシャトルの打ち上げと、その直後に発生した問題によって、あらためて思い知らされたように思います。

参考文献:宇宙の不思議がわかる本(三笠書房)

投稿者 messiah : 2005年08月01日 12:37

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