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2006年03月20日

未完成だったから成功したのかも知れない?

W-ZERO3
q.f. WILLCOM
数多(あまた)あるモバイル機器の中で、「後もう少し薄型になれば、文句のつけようがない」と個人的に感じるのがウィルコム社の「W-ZERO3」です。

とりわけスマートな形とは言えないが、とにかくビジネスシーンで必要とされるものはほとんどこの小さな端末に詰め込まれています。(モバイルPCでありながら電話ができるというのが秀逸)

ブログのテーマランキングにも長い間、登場しているこの「W-ZERO3」を開発したのが、2005年2月にDDIポケットから社名変更したウィルコム社です。(ハードはシャープが提供)

ウィルコム社は、携帯電話の台頭で影が薄くなっている”PHS業界”における唯一の勝組と言われています。

元々、PHSはNTTの技術者によって開発された技術。

それを本家本元が撤退しようとしているのに、なぜウィルコム社は続けられたのか?

ボイジャー
q.f. e-Life SANYO
これに対して、八剱(やつるぎ)洋一郎社長は、1970年代に宇宙に打ち上げられた無人惑星探査機「ボイジャー」と関係があると言います。

ボイジャーは当時、打ち上げてから惑星に到達するまで十何年という歳月がかかることから、完成度が比較的低いままで打ち上げに踏み切ったのです。

準備体制が完全に整うまで待っていては、プロジェクトが先に進まないのです。(時機を逸する)

しかし、そうすると...完成度の低さからくるリスクも当然起こります。

ところがボイジャーでは、ハードウェアはひとまず完成させて、ソフトウェアは打ち上げ後に完成したものをどんどん無線経由でアップデートする方式をとりました。

そして、宇宙で写真を撮影する機能などをどんどん追加していったのです。

八剱氏によると、「ウィルコムの基地局も同様のアプローチを取っている。我々の基地局も開発が遅れていて、1995年に開業する時にはソフトウェアが一部未完成だった。そこでハードとソフトを分離し、ネット経由でダウンロードできるようにした。現在ウィルコム基地局のハードウェアは第3世代目だが、ソフトウェアは第36世代目だ」と言います。

絶え間ないソフトウェア更新によって、ウィルコムの基地局は他の事業者の基地局に比べ、「スマートなアンテナ」と呼ばれるようになり、これが結果的にコストダウンに大きく寄与していると言います。

ある目的に向かって進む時、そのための準備が完璧であるに超したことはありません。

しかし、”準備が目的化”するというトラップに陥ると、ビジネスチャンスを逸するし、事業全体が崩壊する事もありえます。

一方で八剱氏は、「もしあの時、ソフトウェアが完璧に完成していたら、分離策は取らなかったかも知れない」とも述べています。

その結果がどうなったかは誰にもわかりません。

しかし、「未完成だったから成功したのかも知れない」

...と考えるのはちょっとドラマチック過ぎるかな?

q.f. ITmedia

投稿者 messiah : 2006年03月20日 10:55

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