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2006年03月30日

百科事典の正確性で権威ある者どうしが対立

ネイチャー&ブリタニカ英科学誌「ネイチャー」の2005年12月15日号に、百科事典の老舗「ブリタニカ」とオンライン百科事典の「ウィキペディア」の比較記事が掲載され反響を呼びました。

記事によると、科学分野の42項目について正確性を調べたところ、両者とも重大な誤りが4件見つかったが、小さな誤り・漏れ・誤解を招く表現は、ブリタニカが123 件、ウィキペディアが162件で「大差はない」とし、「ネイチャー」という権威ある雑誌がウィキペディアにお墨付きを与えた形になったのでした。

これに対して、米エンサイクロペディア・ブリタニカ社は抗議し、内容の撤回を要求する声明を出しました。

ブリタニカ社によると、調査はウィキペディアとブリタニカの説明文を、外部の専門家に分析させる形で行なわれたが、全文をそのまま渡すのではなく、一部を削っていた例があった、と主張。

その手法で「説明に漏れがあった」と指摘されるのは不当だ、と訴えています。

一方、ネイチャー側は、説明文の長さが公平になるようにブリタニカ側を削った事実は認めたが、逆にウィキペディア側を削った例もあると反論して一歩も引きません。

少し以前ですがウィキペディアに、ジョークのつもりで事実に反する記事を書き込んで名誉毀損問題に発展してから、事典の内容編集に一定の制約を設けているウィキペディアですが、それでも編集が誰にでも出来るという自由度の高さが人気で爆発的に利用者が増えています。

内容に対する信頼性を疑う声は今でもありますが、ネイチャーの試みた実験によってある程度正確なものであることは立証されたように思います。

ウィキペディアには、一時的に誤った内容が記載されても(それが故意による場合は別として)多くの利用者のチェックと修正が容易であることから、最終的にはほぼ正確な内容に落ち着くだろうと期待されます。

こういうのを「集合知」と呼ぶそうですが、ネット社会ならではの情報提供システムとしてこれから益々発展していくでしょう。

しかし、ウィキペディアはボランティアによって運営され、その資金は募金によってまかなわれており、資金面での問題をはらんでいます。

そのため将来的には、巨大な集客力を利用して商用ベースに転じる可能性もあり、その時に、はたして現在のようなフラットでフェアな「集合知」を維持していけるどうか、という懸念もあります。

いづれにせよ、伝統や権威が支配する世界にも、ネット革命による嵐が吹きはじめているようです。

q.f. Hotwired Japan

投稿者 messiah : 2006年03月30日 10:28

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