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2006年08月15日

情報を受け取った細胞が生き残る

脳細胞のイメージ人間をはじめとする脊椎動物の脳には数多くの神経細胞があります。(ニューロンと言います)

脳には神経細胞が集まっている場所や神経線維が走っている場所があり、神経細胞の大きさや密度はまちまちです。

従って、脳の一部の神経細胞の数を数えて脳の体積で掛け算をしても、脳全体の神経細胞の数を割り出すことはできません。

ところが哺乳類の場合は、大脳の表面に神経細胞の集まった構造(大脳皮質)があり、大脳皮質は厚さがほぼ一定のシート状をしています。

そこで、シート状の一部の細胞数を丹念に数えてその面積を掛け合わせれば、大脳皮質の神経細胞の概数を計算することが可能です。

この様な考えに基づいて、複数の研究者が行ったヒトの大脳皮質の神経細胞数はおよそ100億から180億くらいのばらつきがあります。

一般には、平均値をとって、ヒトの大脳皮質の神経細胞の数は140億個であるとされています。

同様の方法で計算した大脳皮質の神経細胞の数は、チンパンジーで80億個、アカゲザル(ニホンザルの仲間)で50億個です。

筆者はかつて卒論に、この大脳皮質と脳のメカニズムについての考察を書いたことがありました。(遠い昔)

その時の記憶では確か、140億個の細胞は使わないと「廃用萎縮」とか言ってどんどん死滅していく。

特に成年になってからはその傾向が強くなるもの、と認識していました。

ところが最近、大人になっても神経細胞は新たに生まれ、学習や記憶に使われた神経細胞だけが生き残って神経回路に組み込まれる可能性が高い、という研究結果が発表されました。

つまり早い話が、年をとっても「使われている細胞」は死なずに生き残るということです。

この研究は、米ソーク研究所グループが行ったマウスの実験によります。

遺伝子操作をしたマウスで学習や記憶にかかわる脳の領域で新たに生まれた神経細胞に蛍光色素を組み込んで見分けられるようにし、同時にこの神経細胞で特定の神経伝達物質の受容体が働かず、情報を受け取れないように遺伝子操作をしたマウスも作りました。

両方のマウスを比べると、情報を受け取れなくしたマウスでは、新たに生まれた神経細胞の生存率が4分の1に低下していたそうです。

結果として「情報を受け取れない細胞は死に、情報を受け取った細胞が生き残って回路に組み込まれた」ようです。

頭は使い込むと衰えないのでしょうか?まあ、そう信じて使える間はせいぜい使いましょう。

q.f. 京都大学霊長類研究所アサヒ・コム

投稿者 messiah : 2006年08月15日 07:59

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コメント

百マス計算に、音読など認知症の改善に効果が!という研究もありますが、何につけ3日坊主のワタクシ。「よし、頭を鍛えるぞ!」と決心するだけで脳が活性化するという研究結果を待ち望んでいる今日この頃。唯一続けているのが、13年目に入る10年日記。時々、数日分まとめて書いて、脳に負荷を与えております。特に単語や公式を覚えなくてもいい年代・・うんうん、唸る時間を作るのも必要ですね。

投稿者 サンサンてるよ : 2006年08月19日 16:24

いつも精力的で感心しますなあ。
昔、上司に五年日記の書き手がいました。とても独創的な人です。五年日記を何回も繰り返し書いていました。
なんで最初から十年日記にしなかったのか、今から思うと謎です。

投稿者 でたとこ : 2006年08月20日 08:35

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