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2006年08月20日

鉛筆でなぞる「奥の細道」がネットで評判

パソコンを使う仕事が多い現代人は、文章のほとんどをプリンタなどで出力するので、文字を書く機会が激減しているはずです。

たまに書類に手書きすると、「おや?」「あれっ?」と溜息が出るくらい文字がヒョロヒョロの腰砕け状態になっています。

パソコンや本では読める文字が。。。んー書けない。書けても筆順は無茶苦茶という今日この頃です。

そんな現代に、意外なブームとなっているのが「なぞり書き」です。

火付け役となったのは、今年1月に出版された「奥の細道」をなぞる本。

習字の練習のように、薄く印刷された手本を鉛筆でなぞっていくという新しいスタイルの読書ですが、文書はキーボードで書く(打つ)のが普通となった若者の間で「気分が落ち着く」「読むより頭によく入ってくる」と、ネット上などで評判を呼んでいます。(評価の土俵はやっぱりネットなのです)

この「なぞり書き本」の当初のターゲットは団塊世代以上の人たちだったのですが、実際、「ぼけ防止になる」「学生時代の思い出がよみがえった」という声が読者から寄せられています。

しかし予想外だったのは、20~30歳代からの大きな反響。ネット上では、奥の細道のなぞり書きについて語り合う掲示板ができ、「芭蕉ってすごいんじゃない?」など、学生を含む若者らの書き込みでにぎわっているそうです。

瓢箪から駒っていいますが、このことかも。

日本語学者の北原保雄氏によると、「読書よりテレビという時代に、読むより手間がかかる書くことに関心が集まるのは驚き」としながらも、「書く方が文章をゆっくり味わう分、頭に入る。また鉛筆は、筆や万年筆の反対で、最も私的な筆記具。自分一人の時間を楽しむのに一役買っているのでは」と分析しています。

“なぞり書き”は2つの意味から現代人に受けたと思います。

1つはアプローチの容易さ。誰しも小学校から高校までの10年余りの間は文字を書いていた。だから慣れている。すなわち取り組みの第一歩としてのハードルが低いことが挙げられます。

もう1つは非日常的な経験。文字をなぞっている時間は雑念を離れて、その文学なり文字の世界に入り込むことで無我の境地にインできるわけです。

下地があってそれをトレースすればいいので、上手い下手はあまりない。だから文字コンプレックスも生じない。そこが、文字を白紙の紙に書くことが苦手な現代人にも受けた理由でしょう。

もしかすると、“書く”という体験を日常の中から奪われた現代人の帰巣本能かも?

q.f. YOMIURI ON-LINE

投稿者 messiah : 2006年08月20日 08:08

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