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2005年07月07日

テーマパークに勝組、負組がなくなる?

「勝組、負組」という言葉が一時、流行りました。(今でも使っています)

書物の題名や講演・セミナーの演題に使われ、マスコミもこういう黒白(こくびゃく)がはっきりした刺激性のある言葉が大好きなので、いろんな場面で使ってきました。

そして勝ち負けといえば、どんな業界でも”独り勝ち”という現象があるようで、自動車業界ならトヨタ、電器業界なら松下、ビール業界ならアサヒといったところが例に挙げられたりしています。

テーマパーク業界でもTDL(東京ディズニーランド)の独り勝ちが長く続いています。

大阪で2001年3月に開園したユニバーサル・スタジオ・ジャパンは、そんなTDLに対抗するかのように開園から1年間は客足が好調でした。(入場者1000万人突破は最速だった)

しかしその後、一部のアトラクションでオープン時から継続して許容範囲を越える火薬を使用していたことが発覚。

さらに、パーク建設時の配管ミスにより水飲器の一部から工業用水が出ていたことが発覚。

さらに、パーク内の飲食店舗で賞味期限切れの食材を調理して使用していたことが発覚。

テーマパークは一気にイメージダウンしてしまいました。

初年度こそ入場者数は1,102万人でしたが、その後は1,000万人にすら到達せず入場者は減少していきました。(開業前の目標は年間1,200万人だった)

大人に希望を与え、子供にも夢をもたらすテーマパークは「好感度」が命なのです。イメージダウンがきっかけとなって(他にも要因はあるでしょうが)USJはその後、連続して赤字経営を続けることになります。

2004年6月には米ユニバーサル社から送り込まれたグレン・ガンペル氏が社長になり、従業員の早期退職募集や経費削減などのリストラを進めて、2004年度は3年ぶりに黒字に転換します。

しかし、毎年140億円の借金返済と累積赤字が316億円に達したことから、資本金(400億円)を食いつぶすのは目に見えていました。

そこで、米ゴールドマン・サックス証券や日本政策投資銀行を引き受け先として増資に踏み切り、この新たな資金を債務の返済にあて、赤字体質を改善しようとしています。

<USJは負組のまま終わらない?>

テーマパーク業界は対抗馬と見られたUSJの度重なるチョンボと入場者減少によって、TDLが独り勝ちを続けている。

...と、思いきや?

あのTDLの入場者数も今年は前年度より1.8%減少している。

TDLを運営する「オリエンタルランド」が右翼関連企業と不透明な取引を続けていた問題が後をひきずっているのかも知れません。

また、愛知万博へ客足が流れた影響があるかも知れません。

TDL誕生後、「雨後の筍」のように全国各地で作られた大型テーマパークですが、その多くが閉園の運命を辿りました。

テーマパークが夢や希望という価値(バリュー)を人々に提供し続けるのは並々のことではない。

ましてや、時代と共に変化する人々の心の中にある価値観の動きを捉えきれなければ...

TDLと言えども例外ではない。

テーマパークに勝組、負組がなくなると、競争が完了した成熟しきった世界となってしまいます。

サービスで勝負する業界だけに、そうはならないように願いたい。

そのためには、USJが頑張ってTDLの強力なライバルになるしかないか...

投稿者 messiah : 2005年07月07日 09:49

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