« ナイジェリア詐欺師がイグ・ノーベル文学賞を受賞 | HOME | 発表! 2005年イグ・ノーベル賞の全受賞者 »

2005年10月10日

ハングリーであれ、馬鹿であれ(最終話)

スティーブ・ジョブズ10/8の続き、最終話です。

米スタンフォード大学の卒業式で、アップルコンピュータ社CEOのスティーブ・ジョブズ氏が、印象に残る名スピーチを卒業生に贈りました。

これは和訳されて日本でも多く読まれ、「鳥肌が立つほど素晴らしい」という評価もあります。

その最終話(第四話)をお届けします。

スピーチのエンディングは、原文と和訳を掲載しておきます。

When I was young, there was an amazing publication called The Whole Earth Catalog, which was one of the bibles of my generation. It was created by a fellow named Stewart Brand not far from here in Menlo Park, and he brought it to life with his poetic touch. This was in the late 1960's, before personal computers and desktop publishing, so it was all made with typewriters, scissors, and polaroid cameras. It was sort of like Google in paperback form, 35 years before Google came along: it was idealistic, and overflowing with neat tools and great notions.

Stewart and his team put out several issues of The Whole Earth Catalog, and then when it had run its course, they put out a final issue. It was the mid-1970s, and I was your age. On the back cover of their final issue was a photograph of an early morning country road, the kind you might find yourself hitchhiking on if you were so adventurous. Beneath it were the words: "Stay Hungry. Stay Foolish." It was their farewell message as they signed off. Stay Hungry. Stay Foolish. And I have always wished that for myself. And now, as you graduate to begin anew, I wish that for you.

Stay Hungry. Stay Foolish.

Thank you all very much.
全地球カタログ
The Whole Earth Catalogue 最終号
q.f. aki's STOCKTAKING

私が若い頃、"The Whole Earth Catalogue(全地球カタログ)"という、とんでもない出版物があって、同世代の間ではバイブルの一つになっていました。

それはスチュアート・ブランドという男がここからそう遠くないメンローパークで製作したもので、彼の詩的なタッチが誌面を実に生き生きしたものに仕上げていました。

時代は60年代後半。パソコンやデスクトップ印刷がまだ普及する前の話ですから、媒体は全てタイプライターとハサミ、ポラロイドカメラで作っていました。

だけど、それはまるでグーグルが出る35年前の時代に遡って出されたグーグルのペーパーバック版とも言うべきもので、理想に輝き、使えるツールと偉大な概念がそれこそページの端から溢れ返っている、そんな印刷物でした。

スチュアートと彼のチームはこの”The Whole Earth Catalogue”の発行を何度か重ね、コースを一通り走り切ってしまうと最終号を出しました。

それが70年代半ば。私はちょうど今の君たちと同じ年頃でした。

最終号の背表紙には、まだ朝早い田舎道の写真が1枚ありました。君が冒険の好きなタイプならヒッチハイクの途上で一度は出会う、そんな田舎道の写真です。写真の下にはこんな言葉が書かれていました。

Stay Hungry. Stay Foolish.
(ハングリーであれ、馬鹿であれ)

それが断筆する彼らが最後に残したお別れのメッセージでした。

Stay Hungry. Stay Foolish.

それからというもの私は、常に、自分自身そうありたいと願い続けてきました。

そして今、卒業して新たな人生に踏み出す君たちに、それを願って止みません。

Stay Hungry. Stay Foolish.

ご清聴ありがとうございました。



ジョブズ氏の「贈る言葉」が終わると、聴衆は皆立ち上がり、スタンディングオーベイションで彼に感謝の意を伝えました。

ジョブズ氏は、大学入学と中退、起業と成功、挫折と復活、出会いと死...つまり、彼の半生の中で特に心を揺すぶる出来事について語りました。

彼のスピーチに感動した卒業生は多かっただろうと思います。

しかし、..................

このスピーチに最も反応したのは、実は他ならぬ、社会に出て活躍している”大人たち”だったのです。ネット上には、「今まで知らなかったけれど、偉い人だとわかった」、「これでますますアップルが好きになりました」といったコメントで溢れています。

20代、30代、40代、50代...と幅広い世代の”大人たち”を痺れさせたモノは何なのでしょうか?

世界で最も成功した企業家の一人であるスティーブ・ジョブズ氏。しかしその成功の影には、回り道あり、挫折あり、死の恐怖あり...。

また一方で、予期せぬ出会いもあれば奇跡もあった。

”大人たち”もそれぞれに、ジョブズ氏と似たような人生の「明」と「暗」を体験してきた。その自分の過去を振り返って、自分自身の今を見つめ直し、ジョブズ氏に元気をもらったのではないか。

”大人たち”は、最後の「ハングリーであれ、馬鹿であれ」の意味をそれぞれの思いで味わったに違いありません。

q.f. PLANet blog.iBlog of Seiten

投稿者 messiah : 2005年10月10日 10:05

トラックバック

このエントリーのトラックバックURL:
http://go1by1.com/mt/cgi-bin/mt-tb.cgi/323

コメント

コメントしてください




保存しますか?


▲TOP   ■HOME