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2006年01月30日

慈善活動を続ける世界一孤独な大金持ち

ビル・ゲイツ米マイクロソフト社会長のビル・ゲイツ氏は1/27、結核撲滅のための研究支援資金として、9億ドル(約1050億円)を寄付することを発表しました。

それ以前にも彼は、同夫妻が運営するBill & Melinda Gates Foundationを通じて、途上国の保健医療問題解決を目指す「Global Health」プロジェクトに2億5000万ドルを拠出すると発表しました。(2005年5月)

さらに、Bill & Melinda Gates Foundationは、マラリア予防のワクチン開発など3件のプロジェクトに総額2億5830万ドルを助成すると発表しました。(2005年10月)

ビル・ゲイツ氏は国際社会に貢献しようとしています。(その動機はどうであれ...)

ところが、ビル・ゲイツ氏が恵まれない人を助けるために寄付をしたというニュースは、ほとんどの人が知らないか、興味を持っていないような気がします。

「金持ちだから痛くも痒くもないだろう」、「どうせ売名行為だろう」

世界一のソフトウェア会社を築くために、非情な手段でライバルを蹴落としてきた男には、どうして拭い去れないある種のイメージと孤独な影が付きまといます。

そして彼は、いつもハイテク業界の悪者扱いをされてきたという歴史があります。

スティーブ・ジョブズ一方、宿命のライバルである米アップルコンピュータ社のスティーブ・ジョブズ氏は、ほとんど聖人君子のような評価を得ているのが現状のようです。

ゲイツ氏の一般的評価は、冷酷な資本家。天才なのかもしれないが、その興味は技術を改良するよりも、利益を最大化する方向に向けられている。復讐に燃えるオタクの究極の姿。学校では仲間はずれにされた恨みを胸に、みんなを血祭りにして最後に笑うタイプの男。

対照的に、ジョブズ氏は、最近になって大きな成功を収めているものの、ビジネスにはさほど関心を払ってこなかった印象があり、むしろ、彼はアートやカルチャーといった文脈で語られることが多かった。審美眼を持つアーティストで、世界を変えるという野心に駆られている男。

しかし、ゲイツ氏のこれまでの慈善活動をながめていると、そんな風に両者を対極的に置いてしまうと、ちょっとゲイツ氏が哀れになります。

だが、2人にまつわるこうしたイメージは間違っているという意見があります。

実は、2人の真のイメージはちょうど反対で、世界を変えているのはゲイツ氏で、自分を必要とする社会の声に耳を貸さず、ひたすら金儲けに突っ走る資本家の役にぴったりなのはジョブズ氏の方だ、というのです。

ゲイツ氏は、巨万の富を得るのにも熱心だが、寄付活動にも同じくらいの情熱を傾けている。(前述の通り)

これに対し、慈善事業の寄付者のリストでジョブズ氏の名前を見かけたことはない。また、重要な社会問題について発言したことも一度もない。あのたぐいまれな説得の才能は、もっぱらアップル社の製品を売ることだけに使われている、というのです。(Hotwired)

確かに思い当たるフシもありますね。

しかし、これがマイノリティ・レポートだとすると...

ビル・ゲイツ氏は、多分「世界一孤独な男」かも知れません。

q.f. Hotwired Japan

投稿者 messiah : 2006年01月30日 09:24

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