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2006年06月30日
アマゾンの増殖し続ける野望
アメリカのWebvan Groupはかつて、食料品のインターネット販売に世界で初めて乗り出しました。
Webvan社はネット上の大型食品スーパーを目指して、1999年半ばに営業を開始します。(ドットコムバブル時代です)
多品種多品目の品揃えや希望の時間に無料配達するというサービス実現を目指して、10億ドル以上の資金を調達したのです。
そして、ITインフラと配送システムを万全に整えて事業はスタートしましたが、わずか2年後に12億ドルの負債を抱えて倒産します。
その後、このWebvan社の失敗は「ドットコム業界で過去最大の惨事」とか「オンライン小売りへの教訓」などと言われ、業界全体の事業規模と意欲が縮小していくことになります。
ところが今、そのインターネット食品市場に、あのアマゾンドットコムが挑戦しようとしています。
アマゾンと言えば、日本人は「ネット書店」を真っ先に思い浮かべることでしょう。
インターネット草創期の1994年にジェフ・ベゾスによって開業されたインターネット書店Cadabra.comが、後に世界で最大規模の流域面積を持つアマゾン川にちなみAmazon.comと改名されたのが名前の由来です。
アマゾンは米ワシントン州シアトルに本拠を構える世界最大のインターネット書店ですが、インターネット上の商取引の分野で初めて成功した企業の一つで、本以外にもDVDや電化製品など様々な商品を扱っています。
アマゾンは世の中に大量にある小ロットしか売れない書籍を販売し、いわゆるロングテールという実店舗にはまねのできない現象を引き起こしたことで知られています。
また、他に先駆けて「レコメンデーション(自動推奨)」や「書籍の中身検索」といった機能をサイトに導入し、これらによりロングテール部分に埋もれていた書籍が突然売れ出すという現象を起こしました。
さらに、アフィリエイト・サービスでも先駆けとなり、全世界のWebサイトの「支店化」にも成功しています。
その後も、短編文学のデジタル配信サービスや書籍の必要なページ分だけダウンロード購入できるサービスなどを矢継ぎ早やに展開し、最近では書籍のオンデマンド出力サービスも始め、そのロングテール・ビジネスを拡大しようとしています。
こうした的確で・タイムリーで・先駆的な試みが同社の評価を高くしていることは疑いなく、米CNET News.comの「Amazon is not Webvan 2.0」というブログ記事では、アマゾンがWebvanとは明確に違う3つの点を挙げて、アマゾンの新戦略を楽観視しています。
- アマゾンでは生鮮食料品を取り扱っていない。Webvan社は商品の倉庫・保管業務に10億ドルもの巨額を先行投資し生肉や野菜・果物といった生鮮食品を扱っていた。これがWebvan失敗の大きな要因となった。
- アマゾンでは、商品の即配を行うつもりがないようである。即配はWebvan社サービスのウリではあったが、そのことが同社利益圧縮の要因の1つになった。
- アマゾンは過去10年にわたってオンライン小売りの実績があり、今後どこまで拡張すべきか、どこから先が過剰投資になるのか、その判断力を身に付けている。
『最良の、.....そして最悪の時代』
近未来のテクノロジー業界を予測したフラッシュムービー「EPIC2014」では、検索最大手のグーグルとアマゾンが合併して「グーグルゾン(Googlezon)」を作り、全ての覇権を掌握していくストーリーになっています。
二強が結びつく可能性や兆候は今のところ(表面的には)ないのですが、本当にそうなると独占禁止法に触れる可能性もあるほど強大な力になるでしょう。
ただ、今回のアマゾンの「ワンストップ・ショップ戦略(※)」の加速で、IT業界の群雄割拠に拍車がかかることだけは間違いありません。
ワンストップ・ショップとは... 関連する全ての商品やサービスをそろえた総合店舗のこと。1ヶ所で様々な製品をまとめて購入する消費者行動を「ワンストップ・ショッピング」という。 他店との差異化のために「ここに来ればなんでもそろう」という印象を消費者に与え、顧客の囲い込みをはかるためのマーケティングメッセージとしての意味合いが強い。 q.f. e-Words |
q.f. IT Pro |
投稿者 messiah : 2006年06月30日 07:22
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