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2006年06月18日
ロングテールを食い尽くすピラニア?
『ウェブ進化論』を遅ればせながら読みました。
この書物は2006年2月に第1版が発刊され、3月30日には第7版が増刷されるほどのベストセラーとなりました。
進化論というタイトルですが、実質はビジネス書です。
手頃なボリュームなので(1~2日で読めると思う)ビジネスマンは一読をオススメします。
同書に詳しく説明があるのが、最近あちらこちらで聞くようになった「ロングテール」という得体の知れないもの。
“恐竜の尻尾(しっぽ)”に例えられますが、と言ってもそこらここらの恐竜でない。
体高10メートルに対して、その尻尾は、先まで辿ると1000メートルもある...
しかし、とてつもなく横に長い尻尾を持った恐竜「ロングテール」こそ、インターネットビジネスの最強モデルとも言われています。
20世紀初頭に、パレートという経済学者が提唱した「80:20の法則」というのがあります。
- 「売上の8割は最もよく買いにくる2割のお客から生み出される」
- 「売上の8割は最もよく売れる上位2割の商品から生み出される」
このパレートの法則は、大量生産大量販売における基本原理とされてきました。
「ロングテール」とは、実はこの「その他8割」の“死に筋”のことを指すのです。
そして、この“死に筋”をゾンビのように生き返らせた恐ろしい魔術使いが「インターネット」なのです。
米国の書店チェーンのバーンズ&ノーブルでは、陳列スペースの制約があるので13万品目しか販売できませんが、制約のないネット書店のアマゾンドットコムは230万品目を販売しています。
このネット書店の販売量で、ランキング13万番からビリ(230万番)までの書籍の販売額を合計すると、売上全体の57%に達するという衝撃の事実が著名な雑誌で発表され、そこで「ロングテール」という言葉が初めて使われたのです。(正確には、3分の1だったことが後でわかり修正されたが、それでも凄い比率)
「ちりも積もれば山となる」ということです。
しかも、尻尾にあたるニッチな(めったに売れない)本は、大きな値引きをしなくても販売できるので利幅が大きいのです。
ロングテールは、音楽配信サービスなどのデジタルコンテンツ販売でより顕著に表れており、アップルのiTMSでは、取扱っている楽曲の中で1回もダウンロードされなかった曲は(100万曲以上あるのに)1曲も無いと言います。
なんと「君が代」がトップソングにランクインしたりして、CD販売とは大きく異なる動きを示しています。
ロングテールを作り出すには、このニッチな個々の商品を顧客の目につくようにする仕組み作りが必要であり、アマゾンでは、リコメンデーション(本の推薦)やアフィリエイトがその効果を上げています。
さらにアマゾンドットコムは6/12、書籍やCDの委託販売を開始しました。
これは自費出版やインディーズCDなど、卸が取り扱わない商品をウェブサイトで販売できるようにするものです。
このサービスの導入により、アマゾンは取り扱う商品数をさらに拡大します。
つまり、「(商品数の増加で)ロングテールを拡大する」わけです。ますます尻尾が長くなる...
長くなった尻尾をトコトン食いつくそうとしています。(筆者は、たい焼きの尻尾はトコトン食い尽くしますが)
その貪欲さたるや、まさにピラニア?
q.f. CNET Japan |
投稿者 messiah : 2006年06月18日 08:40
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