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2007年03月11日
遅くてはいけない 焦ってはもっといけない
世界を二分する二つの航空機メーカー、エアバス社とボーイング社。
両社は宿命のライバルと言えるでしょうが、それは基本コンセプトが正反対であることによります。
将来ビジョンが対極にあるのです。(詳細は拙エントリーで)
手短かに言うと、エアバス社は人口が集中する地域の需要増加を見込んで機体の超大型化を指向する戦略。それに対してボーイング社は、小回りのきく直行便の旅客需要が増加すると見込んで燃料効率重視を指向する戦略。
その両社のコンセプトの優劣を決める戦いの火蓋(ひぶた)が切られてから、およそ2年ほど経過しましたが、その後どうなったでしょうか?
まだ決着がついたわけではないのですが、エアバスは苦境に立たされています。
欧州の航空宇宙関連企業・EADSは、傘下のエアバスの昨年の決算を発表し、5億7,200万ユーロ(約890億円)の赤字に転落したと報告しました。(2007.3.9)
原因は、エアバスが開発・生産している次世代超大型旅客機A380の引き渡し遅延に伴う収入減やユーロ高です。
EADSの財務担当首脳は、エアバスの収支決算は2007年も赤字になる可能性があるとの厳しい見方を示しました。
エアバスは最近、欧州内の生産拠点の縮小、売却、従業員約1万人の人員削減などのリストラ策を発表していて、財政悪化は、新たな中距離用A350型の開発計画も足踏みさせているとのこと。
つまり、コンセプトの優劣を決する以前の問題でエアバスが負けそうな状況になっています。
あんなことがなければ。。。エアバス関係者からはそんな嘆き、呻き(うめき)が聞こえてきそうです。
もし、A380の引渡しが順調にいき、ユーロ安になっていれば...状勢は180度異なっていた。ボーイングの先手をとって発展途上国の大部分を制圧できていた...。
しかしよく考えてみると、引渡し遅延が生じたのは“無理な”計画があったからだと判断すべきです。
ボーイングは、人口の多い新興市場をダイレクトに狙っていたのではなく、とにかく、乗り継ぎなしでワンストップで目的地と結べるネットワークを考えているのですから、あわてる必要はなかったように思います。
一つのミスが次に続く計画に影響を与えているエアバスと、労せずして相手のミスで悠々と勝利に近づいたボーイング。勝負の行方は少し見えてきた感があります。
「相手のミスは自分のプロフィットとなる」というゼロサムゲームの論理です。
遅くてはいけない。しかし、焦ってはもっといけない。教訓となる話です。
投稿者 messiah : 2007年03月11日 10:50
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