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2005年10月04日

ハングリーであれ、馬鹿であれ(第一話)

スティーブ・ジョブズ
by Stanford University
米スタンフォード大学の卒業式(6/12)で、アップルコンピュータ社CEOのスティーブ・ジョブズ氏が、印象に残る名スピーチを卒業生に贈りました。

これは和訳されて日本でも多く読まれ、「鳥肌が立つほど素晴らしい」という評価もあるようです。

ちょっと大げさな!...ですが、そう言えないこともない。

その判断は読者にお任せしますが、筆者はその内容をザックリとご紹介しておきます。

ジョブズ氏のスピーチは、3つの話から成っています。

  1. 点と点
  2. 愛と敗北

まるで、小説のタイトルみたいで、どんな話をするのかワクワクさせるものがあります。

点と点

その昔、大学に入学したジョブズ氏はこんなことを考えます。

「私は、私の人生で何がやりたいか全くわからないし、私がそれを見つける手助けを、大学がどのようにしてくれるのかもわからない」

「なのに、ここで私は、両親が全生涯をかけて貯めたお金を全て使おうとしている」

少し説明すると、ジョブズ氏は生まれてすぐに養子として他家に引き取られたので、ここで言う両親とは産みの親ではありません。その生い立ちを詳しくは語っていませんが、「労働者階級の親の稼ぎはすべて大学の学費に消えていく」と語り、育ての親への感謝の気持ちや幾分、オブリゲーション(義務に近い責任)が感じられます。

ジョブズ氏は半年後に退学届を出します。しかし、その後も18ヶ月間は”もぐりの学生”として大学の講義を受けていたと告白しています。

彼はその間、自分が興味を持てる講義を探していくうちに、カリグラフィー(飾り文字)に出会い、興味を抱き、それに没頭しはじめます。

カリグラフィーカリグラフィーは「西洋書道」とも言われ、専用のペンを使って美しいアルファベットを書く技術のことです。ヨーロッパでは、店の看板や表札など、街のいたるところで目にすることができます。その歴史は古く、6世紀頃ヨーロッパに修道院ができ、写本が作られるようになったのが始まりと言われています。その後の印刷技術の発達により写本はなくなっていきましたが、長い歴史の中で様々な書体が生まれました。

ジョブズ氏は、セリフ(欧文活字のひげ飾り)やサンセリフの書体、活字の組み合わせで字間を変えたりできる印刷活字(フォント)の作り方などを勉強します。

セリフ[serif]やサンセリフ[sans-serif]は現在でもパソコンの書体として使われています。このブログの書体はサンセリフです。日本ではゴシック体と呼ばれることが多いが、本来のゴシック体はサンセリフ体とは異なる。

その時の経験や知識が、後に、アップルコンピュータの名を不動のものとした「マッキントッシュ(マック)」のコンセプトになるとは思ってもいなかったでしょう。

「こうして当時、自分の好奇心と直感の赴くままに身につけたことの多くが、後になって、値段がつけられないぐらい価値のあるものだって分かってきたんですね」

「この時の経験が丸ごと私の中に蘇ってきたんですね。で、僕たちはその全てをマックの設計に組み込んだ。そうして完成したのは、美しいフォント機能を備えた世界初のコンピュータでした」

一見して何の結びつきもないカリグラフィーとマックが1つにつながる不思議...

ジョブズ氏は続けます。

「もし私が大学の”あの”コースに寄り道していなかったならば、マックは複数書体も入っていなかったし、字間調整フォントも無かったでしょう」

「もし私が大学を退学していなかったら、このカリグラフィーの授業を受けていなかったであろうし、パソコンも今あるように素晴らしい活字を搭載していなかったかもしれない」

「私が大学にいた頃は、先を見て点と点を結ぶことは不可能でしたが、10年後に振り返ってみると非常にはっきりとしています」

「あなた達は、先を見て点と点を結びつけることは出来ないけれども、過去を振り返って繋げることは出来るんだ」

「だから、あなた達は将来、点どうしが何らかの形でつながってくることを信じるべきなんだ」...と。

ジョブズ氏は、好奇心と直感の赴くまま、自分の感性に素直に従って生きることの重要さを訴え、「信じること」すなわちそれは「信念をもち続けること」であり、それを忘れないで生きて行けば、最後に点と点はつながる。

点と点をつなぐのは、あなた自身(の心次第)だと言いたかったのでしょう。

第一話おわり(続きは、またの日...)

投稿者 messiah : 2005年10月04日 08:16

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