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2006年04月17日

「地域ブランド」を巡る根の深~い問題

「松阪牛」など...地域名と商品名を合わせた商標登録を積極的に認める「地域団体商標制度」が今月始まり、特許庁に300件を超える申請が出る中で、新たな問題が起こっています。

先ずは、愛知県の「八丁味噌(みそ)」

八丁味噌は大豆から造られる豆みその一種で、愛知県岡崎市八帖(はっちょう)町が発祥の地。

同町の「まるや八丁味噌」と「合資会社八丁味噌」の2社が江戸時代から造っています。

この2社で昨年4月に「八丁味噌協同組合」を立ち上げ、「八丁味噌」の地域ブランド申請の準備を進めてきました。

「まるや八丁味噌」では、「八丁みそのブランド力は我々2社が築いた岡崎の財産。市外の業者が名称を使うのは知名度を利用した“ただ乗り”だ」と言います。

一方、県全域の業界団体「愛知県味噌溜醤油(たまりしょうゆ)工業協同組合」(名古屋市)は「岡崎市以外で30年間八丁みそを売ってきた業者もいる。2社だけ独占使用するのはおかしい」と主張し、2社に対して、県内の味噌業者の名称使用を認めるよう求めてきたのです。

しかし、協議は物別れに終わり、結局は両組合が「八丁味噌」を含む名称を申請した、とのこと。(これを、「はちあわせ」ならぬ、「はっちょうみそあわせ」と言うんでしょうね)

続いては、香川県の「讃岐うどん」

香川県内のうどん店や製麺(せいめん)所などで作る「さぬきうどん協同組合」(高松市)は、月内にも「さぬきうどん」を地域ブランド申請する予定ですが、特許庁によると「登録は難しいだろう」と見られています。

新制度では、「地名+商品名」でも、一般的に使われるイセエビやサツマイモなどは申請できません。

全国各地で作られている“さぬきうどん”もこれにあたる可能性が高いらしい。

ということは、知名度の高さがアダになった?

これに対して、同組合は、「全国的な知名度は我々の努力の成果。それを利用して粗悪品を作る者がいる。登録できないなんておかしい」と反論しています。

お終いは、埼玉県の「深谷ねぎ」

「深谷ねぎ」の登録を目指した埼玉県深谷市は、協同組合以外は申請できないという規定に立ちふさがれました。

農産物の地域ブランドは、農協が申請する例が多い。

だが、同市では直接市場にネギを出荷する農家が多く、農協を通じた出荷は25%程度。

同市では、「PRや販路拡大は市が中心で、農協だけではすべての農家の利益を代表できない。農協と市が共同で申請したかった」と言います。

結局、市は地域ブランド申請をあきらめ、苦肉の策として「深谷ねぎ」の文字の一部をネギの絵に変えたロゴを3月下旬に通常の商標として申請しました。

特許庁は、このような問題が発生している現状について、「改正の要望が多いようなら検討が必要かもしれないが、現時点では考えていない」としています。

以前に、正露丸の商標をめぐる争いについてエントリーしたことがあります。

そこでも触れましたが、商標争いというヤツは、商品がモノになって(知名度が確立して)から起こる問題なので、歴史を遡った議論になってしまう厄介なシロモノです。

大抵の場合、それぞれの言い分があり、何百年も生きて経緯を知っている仙人でもいない限り、正確なジャッジができない根の深~~い問題なのです。(特許庁は大変です)

q.f. アサヒ・コム

投稿者 messiah : 2006年04月17日 07:53

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