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2007年11月23日

注目すべき環境問題のパイオニアたち

2005年のことです。

日本ではLOHASブームが起きていました。

LOHASとはLifestyles of Health and Sustainabilityの略で、健康と環境、持続可能な社会生活を心がける生活スタイルのこと

ある日本人記者が雑誌のLOHAS特集の取材のために、カリフォルニアのある企業を訪れてインタビューします。

「日本では今、LOHASがブームですが、あなたはLOHASをどう思われますか?」

『よくわからない』

「わからない?アメリカではあなたの会社をLOHASと位置付けています。よくわからないとはどういう意味ですか?LOHASとは距離をおいているのですか?」

取材記者がたたみかけると、その初老の男は次のように答えます。

『うちはLOHASとは関係ない。うちは非常に真剣に環境問題に取り組んでいる。一方世間では、LOHASの流れに乗ろうとする動きがある。だが、本当に真剣に取り組んでいるところはない。LOHASは単なるマーケティング用語だ』

取材記者はその言葉に愕然としたと言います。

環境、環境とたやすく言うな、という響きが伝わってきたそうです。

『創業以来ずっと、企業の責任とは何かという課題に取り組み格闘してきた。そして、ようやくその結論に到達した』

『死んだ地球からはビジネスは生まれない。健康な地球がなければ、株主も、顧客も、従業員も存在しない』

初老の男とは、筆者が今注目する株式非公開の米アウトドア用品メーカー、パタゴニア創業者イヴォン・シュイナード氏です。(過去のエントリーでも2回紹介しました。これこれ

日本にも米国にもない、環境問題への独自の哲学でビジネスを推進している企業。

このような一風変わった思想を持った経営者は世界でも珍しいのですが、だからこそ、そこに魅力を感じるのは私だけでしょうか。

ところが、最近知ったのですが、パタゴニア以外にも少なからずおられます。

例えば、天然原料をベースとしたオリジナル化粧品メーカーの「ザ・ボディショップ」を創業したアニータ・ローディックです。

アニータは、社会的貢献とビジネスは両立すべきだ、という信念に基づいて行動した女性企業家で、ザ・ボディショップは企業の社会的責任を果たすための企業理念として次の5つを掲げています。

  1. Against Animal Testing
    化粧品の動物実験に反対しています。
  2. Support Community Trade
    公正な取引により、地域社会を支えています。
  3. Activate Self Esteem
    自分らしい生き方を大切にしています。
  4. Defend Human Rights
    ひとりひとりの人権を大切にしています。
  5. Protect Our Planet
    私たちを取り巻く環境の保護に努めています。

その理念に基づいて行動した結果が大きく評価され、アニータはハーパース・バザー(英)「最も尊敬されるパワフルな女性」トップ10に選ばれます。

雑誌「ハーパース・バザーUK」の、「最も尊敬されるパワフルな女性」の特集において、アニータ・ロディックが9位に選ばれました。他には、米国上院議員ヒラリー・クリントン (1位)、オスカー賞女優ヘレン・ミレン(3位)、英国元首相 マーガレット・サッチャー(4位)などの方がランクインしています。

また、 2003年には、エリザベス女王公式誕生日記念叙勲で「小売業、環境とチャリティにおける」アニータの活動を称えて「デイム」の称号が授与されました。

「デイム」(女勲爵士)の称号は、国家への功労や功績に対して与えられるものです。

アニータは惜しくも今年9月に亡くなってしまいましたが、その哲学はいつまでも受け継がれてほしいものです。

投稿者 messiah : 2007年11月23日 14:01

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